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小さく穏やかに暮らしたい

物を減らして心穏やかに暮らしたい主婦の日記。

忘れられない人、そして本

最近、人との対話を通して思い出した事がある。

 

私、めちゃくちゃ暗い子供だったなぁ、と。

 

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親の不仲だったり、行きすぎた躾だったり、単に思春期だったせいだったり。

理由はいくらでもあったのだろうけど、

とにかく、

「私は生きてちゃダメな子なんだ」という意識に苦しんでいた。

 

何で生きているのかな、

何のために生まれてきたのだろう、

そんな事ばかり考えていたあの頃。

 

本を読んでいる時間だけは、嫌な事を忘れられて、ひたすら読んでいた。

 

高校で担任になった先生は、私の中の空虚を見抜いてすぐに声を掛けてくれた。

何年も後に聞いたところによると、

「このままじゃこの子は潰れてしまう」と思ったからだったそうだ。

 

当時の週末、母は弟達の部活動の応援で忙しく、父は自分の実家に通っていて、

私はいつも一人だった。

地元の友達と遊ぶ事もなく、どうやって過ごしていたのか思い出せない。

最近になって、母に、

「私、何年も週末放ったらかしで一人だったよね。」と言ったら、

「そうだったね。今思うとどうしてあんな事出来たのか自分でも分からないわ。

ごめんね。」と言われた。

 

先生は、毎週末近くの駅まで迎えに来てくれて、自宅に招いてくれた。

涙もろくて優しい奥さんと、両親に愛されて育ったのがとてもよく分かる娘さんがいつも迎えてくれた。

先生も奥さんも、

「かなちゃんは我が子と同じくらい大事だよ」と言って、

本当にその言葉通り大切にしてくれた。

 

先生は、数学の先生で、いわゆる理系の人なのだけれど、文学の世界にも通じていて、英語やドイツ語も読み書きできた。

自宅の本棚から、よく本を貸してくれて、私の感想をいつも丁寧に聞いてくれた。

 

それまでも活字好きだった私だけど、

先生という導き手に出会って、文学の世界にのめり込むようになっていった。

読んだものの中でも衝撃的だったのは、

ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」という作品だった。

 

それから十数年後、30歳になった私。

先生との出会いのおかげで、

もう自分は生きてちゃダメだとは思わなくなっていた。

30過ぎて恋人がいない私を気にしてくれた人がいて、

「ちょっと会ってみない?」と紹介された男性は、しゃべってみると、

会社員だけど大学が数学科卒業で、数学の教師の資格を持っている事が分かった。

大好きな先生と同じ数学畑の人なんだと思うと、親近感が湧いて、

話も合うし、この人ともっと会いたいと思った。

 

4回目のデートの時、高校生の頃の話になって、

当時カラマーゾフの兄弟という本にハマって、その中の登場人物であるイワンに熱中していたという話をした。

 

何故だか分からないけど、彼はその話を聞いて、

「こんな面白い人は他にはいない、この人と結婚したい」と思ったそうだ。

 

そして、それから約3カ月後に私たちは結婚した。

 

十代の頃、その歳なりに苦しんでいたからこそ、先生に出会い、1つの文学作品に出会った。

そして今の私に繋がっている。

 

これが私にとって忘れる事の出来ない人、そして本の話。

 

読んで下さり、ありがとうございました^^